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TBSドラマ JIN-仁-で学ぶ「病いの世相史」 大沢たかお、綾瀬はるか
昨日は梶田昭著「医学の歴史 (講談社学術文庫)」を紹介したが、今日は田中圭一著「病いの世相史―江戸の医療事情」を紹介します。

病いの世相史は、ズバリ、江戸時代の医療事情を詳しく解説した本である。著者の田中圭一先生は新潟県佐渡高校教諭から筑波大学の教授になった異色の学究の徒。そのため新潟県や佐渡島の資料が多い。

まず、多くの人は江戸時代の医療は遅れに遅れており、ましてや佐渡島なんかに医者らしい医者なんていなかっただろうと信じていると思う。迷信と呪術の世界だろうと。

ところがとんでもない、佐渡島にはそば屋より医者の数が多く、しかも貧乏・水飲みと蔑まされている百姓ですら頻繁に医者にかかっていたのだ。それは資料が証明している。

ではなぜ遅れていると思ったのか。それは明治維新によって古いものはすべて悪と決めてかかった、それこそ盲信によるものだった。佐渡には鉱山があったためもあり、医者の数は他と比較しても多かったとは言え、江戸時代から各地に医者は豊富にあり、庶民はちょっと怪我をした、腹痛だ、ヘンな小便が出たと、医者に罹っていたのだ。

医者は動植物や鉱物資源をとし、経験によってそれらを患者に与えていたし、人々もこういうときはどうすればいいという治療方法をさまざま身につけていた。医者に至っては導尿カテーテルまで行っているのである。

もちろん、今から見れば間違っているところもあるのだが、それはそれぞれの時代のなせる悲劇であろう。

さらには江戸時代の平均寿命は50歳くらいと言われているが、どの村にも70,80歳の老人がいた。人の半分は50歳を超えて死んだのである。
ではなぜ平均寿命が短いのかというと、乳幼児の死亡率が非常に高かったので、結果として平均寿命が低いのであり、10歳を過ぎると普通に生きたのだ。今では乳幼児に対する医療が進んで、動物のように何人も子供を産まなくて済むようになった。昔の人が多産だった背景には乳幼児での死亡が多かったのである。

このように誤解から江戸時代の医療は遅れていると思いがちだが、そうではないことを資料から証明してみせる。

そしてもう一つ、明治維新に匹敵する意識革命、それは敗戦である。日本のものはみな悪くて遅れている、西洋のものが新しくて正しいと思ってしまった昭和20年。おかげで民間伝承や家庭の医学は鳴りを潜めてしまった。

JIN-仁-の時代である江戸時代は、医療技術こそ現在と比較すれば遅れているのは当たり前なのだが、医者も患者もわれわれが思っている以上に今並みにしていたのである。

先入観と誤解と欧米かぶれが愚かしいことも教えてくれる本である。



JUGEMテーマ:読書


| 読書 | 20:38 | comments(0) | - |
旅行読売 公共の宿特集に寄稿
評価:
---
旅行読売出版社
¥ 440
(2009-11-02)

旅行雑誌の老舗「旅行読売12月号」は「1泊2食1万円以下の公共の宿」。

その巻頭コラムに公共の宿評論家として寄稿しています。



旅行読売は毎年1、2回は公共の宿特集を組み、毎回参考にさせていただいていたが、このたびついに寄稿の依頼がきた。ありがとうございます。大変光栄です。

これまで雑誌社からの依頼はお勧めの公共の宿をリストアップしてくれというご依頼が多かったが、今回は宿泊体験やエピソード、クイズ王としての経歴と、公共の宿に詳しいことに何か接点があればそれも、というご依頼。
さらには公共の宿の現状(よくないです)や上手な利用方法なども、という盛り沢山の内容。
そしてどこぞの公共の宿の前での写真も添えてという注文であった。

見事に応えたと思うが、いかがでしょうか。


| 読書 | 21:34 | comments(0) | - |
古い地図で脳内旅行
家に昭和46年(1971)発行全国版道路地図がある。日地出版という今はなくなったが当時は有名な地図出版会社のロードマップだ。
父が東京流通センター(羽田空港の手前)竣工記念の記念品としてもらってきたもので、なかなか実用性のあるいい引き出物だと思う。
父がドライブやゴルフ、仕事などに使っていたようだが、大阪万博は終わっていたとはいえ、まだ東北道すらできてない、「昔の日本」の姿を見せてくれる。

その後、私が大学に通うようになり、自転車部で全国を走り回ったので、私が重点的に使うようになった。国道の舗装路は濃い赤、未舗装路はピンクで描かれており、北海道はもとより、各地は国道といえどもまだまだ未舗装路が多かった。自転車で走って舗装されていたら、色鉛筆で濃く塗りつぶしてあるので、私自身がこの地図帳を大事に育てていたことが分かる。
国鉄駅から山奥に伸びる細い線は軽便鉄道か。今はないものが逆にあったりして、それはそれで価値がある。

すでにページがはがれているところもあり、地図帳としての体裁を成さないが、捨てるわけにはいかない青春時代の思い出の詰まった、貴重な地図帳だ。

先日、北海道の札沼線の廃線部分と、山奥のダム湖巡りをした。そこで久しぶりにこの地図帳を開いてみると、実に面白い。

まず、札沼線の廃線部分がまだ「生きている」。札沼線の先端は翌昭和47年(1972)に廃線されたのだから、描かれているのは当然だ。しかもその後の廃線を知っており、私が赤でマーキングしていた。



縮尺の荒い地図だが、国道275号線との位置関係がわかるので、コピーして持参すればよかった。

そのあとに行った、ダム湖のあたりはダムはできておらず、まったくの未開地。
幌新、浅野などの地名が読める。上が広域、下が同じ地図のアップです。



浅野は沼田ダムでできたホロピリ湖の下に沈んだ炭鉱の町で、昭和46年にはすでに廃坑していたようだ。

あるいは小平町の達布の先に炭鉱マークがあったりして、なるほど炭鉱の町だったことがわかる。
北部の国道239号線とはまだ道がつながっていないようである。今は快適な山道の国道も、当時は未舗装の山道だった。自転車だったらギアを落として踏ん張りながら登った道であろう。

このように、昔の地図や時刻表を見て、脳内旅行をするのはとても面白い。時刻表なら、昔のほうが行きやすかった場所すらある。たとえば山陰本線がそうで、当時は山陰本線を直通する列車が多かったが、今は鳥取、松江、出雲、浜田、益田など、山陰の各都市からは山陽新幹線へ南下して新幹線に乗せるようなダイヤになっているため、山陰本線を直通して大阪、京都に出る列車は減ってしまった。

もうひとつ、古いバイク雑誌のツーリングレポートも面白い。今では閉鎖された林道も平気で走れたようでうらやましい。

こうして書斎に引きこもってつまらぬ思い出に浸るのである。
| 読書 | 09:10 | comments(0) | - |
「筆談ホステス」 斉藤里恵 耳の聞こえないクラブホステス
評価:
斉藤里恵
光文社
¥ 1,365
(2009-05-22)

全盲のピアニスト、辻井伸行クンの偉業は毎日のようにテレビに取り上げられているが、こちらもハンディを背負ってもなお努力を重ね、銀座のホステスになった女性の実話。

斉藤里恵さんは幼い時の病気が原因で、聴力を完全に失った。その結果、おしゃべりも上手にできないようになった。すさんだ心ですさんだ人生を送っていたが、それでも生きていかなければならない。彼女が選んだ仕事はクラブのホステス。常にお客さんの話を聞き、あいづちを打ち、喜ぶ話を返してあげる、まさに耳と口が勝負の職業だ。

彼女が生み出したのは筆談。メモ用紙にお客さんに「質問」を書いてもらい、それにメモ用紙で筆談で返す。

この前時代的な方法だが、実は心にも記録にも残る手法で、彼女は次第にナンバーワンホステスの座に上り詰めていく…。
だって、適当にあいづちを打っているんじゃお客さんの会話なんて忘れてしまうが、こちらは紙に残っているんだもの、「先日は○○について、ありがとうございました」なんて残ったメモを見て返すと、お客さんは喜ぶ。

そんな彼女の半生を描いた本。

人間は潜在能力の2%しか使っておらず98%は眠ったままという説がある。あるハンデを背負うと、それをカバーしようと残りの能力が開花しだす。辻井君も斉藤さんもまさにそれなのかなと思う。

興味本位で(このように)取り上げられるのは今しばらく。二人が選んだ道は実力の世界。本当の意味でがんばって欲しい。そして感服する。

| 読書 | 22:27 | comments(0) | - |
剱岳<点の記>特集 山と渓谷 浅野忠信・香川照之
新田次郎原作、木村大作監督の映画「剱岳<点の記>」がまもなく公開されるのに合わせ、山岳雑誌の雄「山と渓谷」では剱岳の特集を組んでいる。読み応えがある。

まず新田次郎の「剱岳<点の記>」は、1977年に発表された小説で、明治期に未踏の山であった剱岳に、地図を作る基礎となる三角点を設置しようとする測量官柴崎芳太郎の物語である。
剱岳自体が急峻で非常に難しい山のため、映画化は不可能と言われていたが、映画キャメラマン出身である木村大作監督は、「空撮CGなし、オールロケ、現地撮影」でそれをなしとげた。ホンモノの映画である。
6月20日公開。
山と渓谷は映画、原作、実際の剱岳の3方向から剱岳を取り上げている。

そもそも私は発売間もない単行本で原作を読んだが、なぜ読んだのだろう。思い出せない。おそらく当時は自転車部で地図を頼りに日本中を走っていたので、その関係で測量官の物語に興味を示したのかもしれない。測量実習も履修していた。
先日、物置を探したがこの本が出てこなかったので、やむなく文春文庫で買い直した。

  

山と渓谷では映画撮影の裏話も出ているが、中でも感動したのは山荘や山岳ガイドさんたちの献身的な世話である。偏食の木村監督のためにカレーからニンジンを取り除いたり、急な「弁当40人分」に対応したり、山小屋なのだから制限があってしかるべきなのに、それでも最大限に喜ばれようとする姿勢。一番大切なのは安全管理なので、最初は映画化に渋ったが、だんだんと映画製作にのめりこんでいく姿がわかる。
柴崎芳太郎役の浅野忠信やガイドの宇治長次郎役の香川照之などが一般客と同じ山荘で雑魚寝をして撮影に臨み、しかも自分の荷物は自分で担ぎあげたというから、俳優さんたちもたいへんで命がけであったのと同時に、忘れられない作品になったことだと思う。

今ではGPSで「簡単に」測量できるが、100年前の測量官の努力があってこそである。映画のセリフに「大切なのは何をしたかではなく何のためにしたかが大事です」とあり、見た人の人生観を変える力のある映画だと思う。

なお、剱岳の三角点設置については、過去ブログに力作?があるので読んでください。
こちら>>>

| 読書 | 23:09 | comments(0) | - |
Pen やっぱり鉄道は楽しい
評価:
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阪急コミュニケーションズ
¥ 600
(2009-06-01)

専門誌顔負けの、時には専門誌以上の特集を組む雑誌「Pen(阪急コミュニケーションズ)」の6/15号は「やっぱり鉄道は楽しい」。

おおむね見開き2ページで1記事の構成で、駅弁、車両ウォッチ、駅舎、時刻表、鉄道写真、などなど、その道の識者の談話でうまくまとめている。
なかでもおかしいのが鉄道ファン生態分布図で、乗り鉄も撮り鉄も最後には葬式鉄(廃止路線、車両に乗りに行く)になることだと。
| 読書 | 23:07 | comments(0) | - |
JTB時刻表1000号がAmazonで1位
今日のテレビ各局は、時刻表1000号記念イベントでもちきりでしたね。
そのおかげが、JTB時刻表1000号Amazonの雑誌部門で1位という快挙(怪挙?)です。しかもAmazonでは売り切れで、マーケットプレイスで数倍の値段がついています。
まぁ、84年に一度の、ハレー彗星みたいなものだろうけど。

時刻表1000号

鉄道ジャーナルも買ってください。

  
| 読書 | 20:54 | comments(0) | - |
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