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緒形拳追悼「破獄」をBS2で放送
急死した緒形拳さんを悼む記事は多い。テレビ各局は緒形さん主演の映画や番組を追悼として相次いで放送している。中でもフジテレビの新番組「風のガーデン」は、倉本聰原作の力の入った作品で、テーマは奇しくも「死を目前にした人」。死を背負った主人公中井貴一の父役で、好々爺を演じる緒形さんに死の影は感じられなかった。

ただ、緒形さんの役で「さすが」「余人をもって代えがたい」と納得させられるのは悪役だった。

緒形拳

復讐するは我にあり」は実在した犯罪者を、「鬼畜」では松本清張描く冷酷な犯人を見事に演じた。しかも、凶悪な犯罪の陰には必ず、そうさせる、そうしなければならなかった見えない力がある。その力の存在を感じさせる、ふっと我に還る、人間性のある瞬間さえも表情に見て取れた。

このころ、緒形さんにテレビCM出演のお願いをしたことがある。すると「これからいくつか悪役をやりますので」と、婉曲に断られた。そういえば、緒形さんのCMは少ない。記憶にない。ビールや酒のCMに出てもいいと思うが…。みずほ銀行のCMも差し替えになったそうだ。
10月から竹内結子と共演でエプソンプリンタのCMに出ることになっており記者会見までしていたが、竹内だけの登場になってしまった。

その一方で、「砂の器」の善人の塊であるがために殺される三木巡査や、「火宅の人」のハチャメチャな人生を送る作家など、多彩な人物を繰り人形のように意のままに演じ切った。

私がもう一度見たいと前々から思っていて、テレビ番組サイトのキーワードに登録までしていた番組がある。それは吉村昭原作の「破獄(はごく)」である。これまた実在した犯罪者で、しかも4回の脱獄を成功させたとんでもない男の役だった。
原作も素晴らしいのだが、脱獄囚の緒形拳と、奇妙な因縁で結ばれる看守の津川雅彦の演技合戦ともいうべきせめぎ合いが、素晴らしかった。
番組はなんどか再放送されたが、この数年はお蔵に入ったままだった。それが放送されるのはうれしいが、緒形さんの追悼と言う、とんでもない形で実現してしまった。
合掌。

NHK BS2 10月11日 23:00〜24:30

  

評価:
吉村 昭
新潮社
¥ 580
(1986-12)
| 映画・テレビ | 19:35 | comments(0) | - |
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