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第2回アメリカ横断ウルトラクイズ 優勝は、ひとっつも偉くない
1978年10月1日日曜日、ニューヨークからのパンナム機は昼過ぎに成田空港に着いた。第2回アメリカ横断ウルトラクイズの旅は終わった。

成田空港には日テレ差し回しの車が来ていて自宅まで送ってくれるとのことだったが、優勝賞品の「家族とニューヨーク旅行」に、"家族はウルトラクイズと関係ない"と批判的だった私はずっとふてくされていた。そのため、その車には母と妹が乗り、私は乗らないでリムジンバスで一人で帰った。どこまでも卑屈で偏屈だった。

あとで聞いたらそのクルマはロールスロイスで、近所のおばさんがそれを目撃して、降りたのがうちの母だったからびっくりしたそうだ。

父に、頼まれたリンクスのゴルフセットを買ってきてやり、祖母や親戚にも一通りのみやげがあったはずだ。

祖母は、母が家を空けて自分を差し置いて天下のニューヨークまで行ったのははらわたが煮えくり返るほど腹立たしいことだったに違いないが、クイズの好きな孫が大きなクイズで優勝したのは内心「してやったり」と思っていたのかもしれない。
祖母は高等女学校首席卒業で、なんでも一番が好きな気位の高い人だった。

1979-03-018.jpg

けれども、帰国してしばらくして、放送があってからと思うが、急に祖母が「(ウルトラクイズに優勝したのは)ひとっつも偉くない」と言い出した。<ひとっつ>にアクセントを置いて、ののしるように何度も言った。これは意外だったが、その大元は三男の叔父の入れ知恵にあった。

要するに「クイズは知っているか知ってないかの知識だけのことであり、本来は思考や応用が重要であって知っているだけのことは偉くない」という論理だった。大学教授が言いそうなことだ。
無論これには反論できる。
クイズは知識を試すゲームだから知っているか知っていないかはもちろんだけれども、問題文を聞いて先読みしたり、どのような問題が出るのかを推察して考えているから、決して知っている/知らないだけのゲームではない。

しかしそれ以上に、身内が、孫が優勝したのだから「よかったねぇ」くらいの言葉があってもいいのではないか、叔父も。
百歩譲って、3位4位になった人に対して慰めるように「しょせんクイズなんて知っているか知ってないかなんだから、あんなやつみたいにクイズに夢中になっていないで、おまえは早稲田でちゃんと勉強して研究を重ね、人のためになる人間になれよ」ならあるかもしれない。

それを、優勝した孫にののしるように、批判して言うことはないだろう。

さらにニューヨークのヘリコプターシーンで福留アナが「家族(妹)と参加したまさにクイズファミリー」と紹介したものだから、祖母は「クイズファミリーなんてみっともない」と、それにも怒った。


私は生まれてから、母は嫁に来てから、ずっとこのような処遇を受けていた。いつもすることに、あらゆることに非難をされていた。
ほめて欲しいとまでは言わない。しかし自分のやっていることを認めてもよいだろう。それに叔父たちは私に口出しをしすぎたし、父もそれを容認してしまっていた。

今、祖父が死んだ歳を越えて生きていても、何をしても満足感がなく、気持ちが揺れ動き、40年前を振り返ってもウルトラクイズに優勝したことがよかったのかそうでなかったのか逡巡してしまっているのは、幼いころからの、何をしても祖母にとがめられていたトラウマがあるからだろうか。
屈折した性格に育った。
祖父がせめて私が小学生くらいまで生きて祖母の防波堤になっていたら、多少は違ったかもしれない。

しかし、父が勧めた建設会社を辞めてウルトラクイズに参加して優勝したことは、なにがどうであれ、私が自分の足で自分の進むべき道を決めたのであるし、クイズが趣味の人間としてこれ以上の喜びや名誉はなかった。クイズを通じて新たな人たちとの交流が生まれて、鉄道趣味ともども人の輪が広がった。40年経った今でも、ウルトラクイズに優勝したことが飲み屋での話題になり、一目置かれ、もしそうでなかったのなら、どういう人生を歩んでいたのだろうと思う。

ウルトラクイズの優勝は、単に好きなクイズで優勝したと言うだけでなく、まさに私の新しい人生のスタートであった。
どうもありがとうございました。
| クイズ | 18:23 | comments(0) | - |


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