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ユリイカ 2020年7月号 クイズの世界
昨日のブログはQUIZ JAPANに掲載されたクイズをテーマにした卒業論文について思うところを書いた。毎号、QUIZ JAPANは「これでもか」と言わんばかりの充実ぶりなので、また機会を得れば別の記事について書いてみたい。

今日は「ユリイカ」である。ユリイカは"芸術総合誌"というジャンルらしく、毎号特集主義で森羅万象のテーマを取り上げる。「地図の世界」「書体の世界」はわかる。「マツコの知らない世界」でも取り上げられただろう。しかし「西加奈子」「女オタクの現在」「今 敏」となると、なんだかわからない。
とにかくそういう雑誌がクイズを特集に取り上げたのだ。尋常でないと言えよう。

7月号のため、ずいぶん前から存在は知っていた。しかし近所の書店にないためほったからしていたら、いろいろ評判を聞くので、やむなくAmazonで買い求めた。

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特集*クイズの世界

❖対談
クイズ王とは何者なのか? / 伊沢拓司 徳久倫康 司会=田村正資

❖クイズの王権
知という海の波打ち際で / 宮崎美子
道なき道を行く / 田中健一

❖競技クイズの瞬間
クイズの持つ「暴力性」と、その超克――いかにしてクイズ文化を理解してもらうか / 伊沢拓司
競技クイズとはなにか? / 徳久倫康
予感を飼いならす――競技クイズの現象学試論 / 田村正資

❖クイズのつくりかた
「クイズ」と「謎解き」の交点 / 古川洋平
クイズの作家とクイズの会社 / 仲野隆也
クイズ×IQ――テレビクイズを中心に / 近藤仁美

❖クイズというユートピア
アマチュアクイズ大会文化 / 市川尚志
世界クイズ入門 / ワールドクイズインフォ
クイズとパズルと謎解き / 東田大志

❖創作
クイズ大好き捜査本部――真夏のmissing link / 青柳碧人

❖競技クイズの傍らに
7○3×の世界 / 杉基イクラ

❖クイズ作家とは誰か
私は一生食っていけるのか? / 矢野了平
クイズ作家の「作家性」はどこに宿るのか / 日眤膕
クイズ番組の魔力――“間違える”というロマン / 戸部田 誠

❖クイズ‐メディア史
クイズ番組の今昔 / 小川博司
クイズ・ショウと文学講師――一九五〇年代アメリカにおけるクイズ・メディア・人文知 / 河野至恩
「クイズに強い」とはいったいどういうことなのか?――クイズプレイヤーのテレビ史の試み / 太田省一
クイズ番組とテレビの果て / 遠藤知巳

❖クイズの掛詞
「クイズ」とかけまして…… / 古今亭今輔
クイズと短詩形文学の定型をめぐって / 佐々木あらら
栄光学園、ハンダノビッチ、そしてロラン・バルト / 小川 哲

❖クイズはなにをなすか
クイズの固定性と流動性 / 中田健太郎
クイズ番組のドラァグ・クイーン的解体 / 郡司ペギオ幸夫
答えは人生を変えない / さやわか
コンピューターとクイズの微妙な関係――質問応答システムの歴史から / 小山 虎

❖クイズのフロンティア
広大無辺な地下世界をわれらに垣間見せる「地下クイズ」 / 松本博文
開かれた知識とその価値 / 篠原かをり

❖That’s Q
問題がモンダイなのだ――問題学序説クイズ篇 / 山本貴光
日本仏教における「問答」の歴史と意味――徳一『真言宗未決文』を中心に / 亀山隆彦
質問を理解するとき、わたしたちはなにを理解しているのか?――質問の意味論入門 / 遠藤進平


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これまでTV番組情報誌に番組宣伝としてクイズ番組やクイズ王たちが取り上げられることは多々あったし、総合雑誌にも多少視点を変えてクイズが紹介されることはあった。しかしユリイカのような文明評論雑誌ともいうべき雑誌が取り上げることなどなかった。
それだけクイズが注目されているのか、いやこの切り口はすでに文化として取り上げている。日本のアニメや漫画が低俗なものとしてPTAから忌み嫌われていたものが還暦を迎えて、もはやインバウンドの輸出ビジネスの一翼を担っているようなものだ。

私なんて42年前にアメリカ横断ウルトラクイズでクイズ王になっても「(知っているだけのクイズは)ひとっつも偉くない」と蔑まされたのだ。やっと文化と思われるようになったみたいで、隔世の感がある。

冒頭は「クイズ王とは何者なのか?」。元東大王伊沢拓司と競技クイズ王徳久倫康の対談で、司会はイケメン高校生クイズ侍従田村正資。

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戦後のラジオのクイズからテレビの視聴者参加番組、現在の東大王や競技クイズへの変遷を語り、クイズ王の定義をいろいろと語る。別に結論付けるテーマでもないのだが「クイズ王は消滅する」という不思議な結論に至った。

伊沢拓司は今もっとも注目を浴びているクイズ王で、クイズ制作会社を運営し、自らは芸能プロダクションでマネジメントをしてもらってクイズ番組のみならずワイドショーのコメンテーターやCMにも登場する。

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その寄稿「クイズの持つ「暴力性」と、その超克――いかにしてクイズ文化を理解してもらうか」はいかにもユリイカ的というか東大的というか、誰も予想していないタイトルだが、冒頭を読むと今も昔も世間一般のクイズ王に対する認識は変わっていないと思った。

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知識をひけらかす、上から目線、人より先に答える、話(問題)を全部聞かないで答える…、以前からクイズやクイズ王たちに言われてきたことが今も続いていた。
そういう暴力性を忌避し、誤解を解いていくことこそが伊沢君たちの"仕事"なんだろう。

そしてかたやの徳久倫康。「競技クイズとはなにか?」は、私自身が競技クイズの前の世代のため、興味があったのだが、冒頭で「競技クイズなるものは存在しない。せいぜい、競技のふりをしたクイズがあるだけだ。」と書き出す。逆説的に書くほど競技クイズは認識されていない。読み進むと、徳久がこの期に及んでクイズに対して逡巡しているのではないかと思うようになった。

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進化の過程でさまざまな軋轢や逡巡が生まれる。クイズは楽しめればいいと思うが、徳久の悩みが誌面から感じられ、あぁ、クイズはそのステージに入ったのだなと感じた。私がやっていた80年代のクイズは、新しい番組が出るとすぐに傾向と対策を研究しながら応募はがきを出したのだが、今はそういう番組自体がないので、クイズに対する考え方が根本的に違う。徳久はプロのクイズプレーヤーで競技クイズを知り尽くしており、作問もするのだろう。難しく考えることはないと思うが、誤解があるなら私の読解力不足だ。

そしてクイズとパズルに謎解きが加わってきた。謎解きについても疎いが、仕事で絡むようになって(コロナ禍で棚上げ状態)、古川洋平の「クイズと謎解きの交点」も興味があった。

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リアル脱出ゲームはレクリエーションであり、ホテルや遊園地のイベントで使われている。クイズが懸賞プロモーションに使われて久しいが、謎解きも大いにその要素をはらんでおり、今後は伸びていくだろう。

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ユリイカにはまだまだ多くの記事・論文があり、とても読みでがあり考えさせられる。編集者はよほど各テーマに精通していないと原稿依頼もできないので、すごいと思った。
また機会を見てユリイカ「クイズの世界」も取り上げてみたい。

100年後はクイズ界から文化勲章受章者が出るようになっていればいい。そういえば漫画界からも出ていない。手塚治虫が今年も生きていたら受賞しただろう。

  

| クイズ | 18:27 | comments(0) | - |


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