2010.06.30 Wednesday
「ロストクライム-閃光-」三億円事件の映画、またですかぁ
今週末から「ロストクライム-閃光-」という映画が始まる。
1968年12月10日に実際に起きた、三億円事件をモチーフにしている。永瀬隼介原作。
現代(平成14年=2002年)。
隅田川に絞殺死体が浮かぶ。
単純な事件と思っていたら、被害者は三億円事件とつながっていた。
若き刑事片桐慎次郎(渡辺大=渡辺謙の息子)と定年間近の滝口政利(奥田瑛二)のコンビが、迷宮の箱を開けてしまう…。
三億円事件は当時としての被害額の多さと、白バイ警官に扮して現金輸送車ごと三億円を奪う大胆さと、殺された人はいちおうなく、被害額も保険で補償されるという、"被害者のいない"事件で、しかも遺留品が多すぎた割には事件は解決しなかった。そのため、数多くの実録ドラマやモデルにしたドラマが生まれ、小説や犯人を特定したと言う本まで、いまだに話題に事欠かない。
・たとえば、記憶に新しいのは昨年テレビ朝日でドラマ化された「刑事一代」。実在の名刑事、平塚八兵衛を渡辺謙が演じた。
八兵衛は吉展ちゃん誘拐事件をはじめ、数々の難事件を解決したが、三億円事件は単独犯説を掲げたものの、犯人に迫ることは出来なかった。そして三億円事件の公訴時効成立前に警察を辞めてしまう。
・WOWOWオリジナルドラマ「ルパンの消息」は三億円事件で時効を迎えてしまった刑事(上川隆也)が、もう一つの女性教師殺人事件の時効と絡め、複雑に入り組んだ謎を解く。
・映画「初恋」での犯人は、何と女子高校生(宮崎あおい)である。
◎盗まれた三億円(294,347,500円)は東芝府中工場の従業員のボーナスである。
雨の中、日本信託銀行国分寺支店より黒塗りの乗用車で輸送する途中、府中刑務所脇でシートを引きずってきたニセ白バイ警官に呼び止められる。
「支店長宅が爆破されました。この車にも爆弾が仕掛けられているかもしれません。すぐ逃げてください」。4人の行員はあわててクルマを出る。クルマの下に潜り込むニセ警官。発煙筒の煙が焚かれる。ニセ警官はクルマに乗り込み走り出す。磁石でつけようとして落ちた発煙筒と、ニセ白バイだけが残った。
◎ニセ白バイはシートを掛けて空き地に置かれて準備されていた。走り出す際、シートをステップに引っ掛けたまま走り出してしまい、犯行現場までシートを引きずったおかしな白バイ状態だった。
また、発炎筒は磁石で車体の底につけようとしたのだが、落ちてしまった。もし犯人の想定どおり磁石でくっついたままなら、煙を出しながら走る黒塗りの車であり、たいへん目立ったはずだ。犯人は強運の持ち主だった。
◎犯行を行う前に「陽動作戦」があった。農協や銀行への脅迫状だ。しかし犯行は行われず、そのため脅迫の事実も表にでなかった。だが行員たちは脅迫状を知っており、輸送車からすぐに降りた。
◎何人もの被疑者の中で、もっとも犯人の疑いが濃かったのは現役白バイ警官の不良の息子で、自動車窃盗などを繰り返していた19歳の青年Sだった。しかし事件直後に自宅2階の自室で青酸カリで「自殺」する。階下には両親がいた。
Sは銀行への脅迫状が出されたときに少年鑑別所にいた。だから犯人は、郵便を送れなかったSでないという説と、共犯者がいれば脅迫状は送れたという説がある。
◎犯人のモンタージュ写真は、目や鼻を組み合わせたのではなく、事件前に死亡した人の顔写真をそのまんま使った。
◎別件逮捕されたK氏は、大々的に取り上げられたので今でも名前をそらんじることができる。その後K氏はたいへんな苦労をしたが結婚し家庭を築いた。だが事件40年後の2008年に自殺する。
◎犯人の仮説は多々あるが、中には「事件は警察のでっち上げで、当時学生運動家が多く住んでいた多摩地区のローラー作戦を展開する口実とした」という説がある。学生運動家をあぶり出すために、三億円事件を口実に、アパートをしらみつぶしにできたと言う説だ。
◎映画における府中刑務所脇での犯行シーンは、新潟刑務所脇でロケされた。ロケ日は事件が起きた日と同じ12月10日(2009年)だという。路地からニセ白バイが出てくるのだが、まさに実際の犯行もそうだった。昭和43年の雰囲気がよく出ていると思う。
新潟ロケーションガイドより
◎ニセ白バイは地図のこの路地に潜み、現金輸送車を待ち構えていた。輸送車の進路は、地図の上の国分寺駅前から都道133号を南下して明星学苑前交差点を右折(この地図では上から左へと曲がる)、府中刑務所脇(地図左下のグレー部分)を通って東芝府中工場(地図の左の先)に向かう予定だった。
この路地は現在は一方通行で、北から南へは(法的には)走れない。また、北側の広い東八道路はまだ出来ていなかった。
1968年12月10日に実際に起きた、三億円事件をモチーフにしている。永瀬隼介原作。
現代(平成14年=2002年)。
隅田川に絞殺死体が浮かぶ。
単純な事件と思っていたら、被害者は三億円事件とつながっていた。
若き刑事片桐慎次郎(渡辺大=渡辺謙の息子)と定年間近の滝口政利(奥田瑛二)のコンビが、迷宮の箱を開けてしまう…。
三億円事件は当時としての被害額の多さと、白バイ警官に扮して現金輸送車ごと三億円を奪う大胆さと、殺された人はいちおうなく、被害額も保険で補償されるという、"被害者のいない"事件で、しかも遺留品が多すぎた割には事件は解決しなかった。そのため、数多くの実録ドラマやモデルにしたドラマが生まれ、小説や犯人を特定したと言う本まで、いまだに話題に事欠かない。
・たとえば、記憶に新しいのは昨年テレビ朝日でドラマ化された「刑事一代」。実在の名刑事、平塚八兵衛を渡辺謙が演じた。
八兵衛は吉展ちゃん誘拐事件をはじめ、数々の難事件を解決したが、三億円事件は単独犯説を掲げたものの、犯人に迫ることは出来なかった。そして三億円事件の公訴時効成立前に警察を辞めてしまう。
・WOWOWオリジナルドラマ「ルパンの消息」は三億円事件で時効を迎えてしまった刑事(上川隆也)が、もう一つの女性教師殺人事件の時効と絡め、複雑に入り組んだ謎を解く。
・映画「初恋」での犯人は、何と女子高校生(宮崎あおい)である。
◎盗まれた三億円(294,347,500円)は東芝府中工場の従業員のボーナスである。
雨の中、日本信託銀行国分寺支店より黒塗りの乗用車で輸送する途中、府中刑務所脇でシートを引きずってきたニセ白バイ警官に呼び止められる。
「支店長宅が爆破されました。この車にも爆弾が仕掛けられているかもしれません。すぐ逃げてください」。4人の行員はあわててクルマを出る。クルマの下に潜り込むニセ警官。発煙筒の煙が焚かれる。ニセ警官はクルマに乗り込み走り出す。磁石でつけようとして落ちた発煙筒と、ニセ白バイだけが残った。
◎ニセ白バイはシートを掛けて空き地に置かれて準備されていた。走り出す際、シートをステップに引っ掛けたまま走り出してしまい、犯行現場までシートを引きずったおかしな白バイ状態だった。
また、発炎筒は磁石で車体の底につけようとしたのだが、落ちてしまった。もし犯人の想定どおり磁石でくっついたままなら、煙を出しながら走る黒塗りの車であり、たいへん目立ったはずだ。犯人は強運の持ち主だった。
◎犯行を行う前に「陽動作戦」があった。農協や銀行への脅迫状だ。しかし犯行は行われず、そのため脅迫の事実も表にでなかった。だが行員たちは脅迫状を知っており、輸送車からすぐに降りた。
◎何人もの被疑者の中で、もっとも犯人の疑いが濃かったのは現役白バイ警官の不良の息子で、自動車窃盗などを繰り返していた19歳の青年Sだった。しかし事件直後に自宅2階の自室で青酸カリで「自殺」する。階下には両親がいた。
Sは銀行への脅迫状が出されたときに少年鑑別所にいた。だから犯人は、郵便を送れなかったSでないという説と、共犯者がいれば脅迫状は送れたという説がある。
◎犯人のモンタージュ写真は、目や鼻を組み合わせたのではなく、事件前に死亡した人の顔写真をそのまんま使った。
◎別件逮捕されたK氏は、大々的に取り上げられたので今でも名前をそらんじることができる。その後K氏はたいへんな苦労をしたが結婚し家庭を築いた。だが事件40年後の2008年に自殺する。
◎犯人の仮説は多々あるが、中には「事件は警察のでっち上げで、当時学生運動家が多く住んでいた多摩地区のローラー作戦を展開する口実とした」という説がある。学生運動家をあぶり出すために、三億円事件を口実に、アパートをしらみつぶしにできたと言う説だ。
◎映画における府中刑務所脇での犯行シーンは、新潟刑務所脇でロケされた。ロケ日は事件が起きた日と同じ12月10日(2009年)だという。路地からニセ白バイが出てくるのだが、まさに実際の犯行もそうだった。昭和43年の雰囲気がよく出ていると思う。
新潟ロケーションガイドより
◎ニセ白バイは地図のこの路地に潜み、現金輸送車を待ち構えていた。輸送車の進路は、地図の上の国分寺駅前から都道133号を南下して明星学苑前交差点を右折(この地図では上から左へと曲がる)、府中刑務所脇(地図左下のグレー部分)を通って東芝府中工場(地図の左の先)に向かう予定だった。
この路地は現在は一方通行で、北から南へは(法的には)走れない。また、北側の広い東八道路はまだ出来ていなかった。