2014.05.31 Saturday
「医は仁術」特別展 国立科学博物館
上野の国立科学博物館で開催されている「医は仁術(じんじゅつ)」展に行ってきた。6月15日まで。
江戸の医から、未来を眺める。というテーマ。それまでは祈祷や民間伝承に基づくしかなかった病気との闘いに、東洋・西洋から急速に医学が普及し発達した江戸時代の日本の医学を軸に、医学・薬学関係の資料展示で俯瞰する。
音声ガイドのナビゲーターはTBSのドラマ「-JIN-仁」で江戸時代にタイムスリップした医師を演じた大沢たかおが務める。
原作の漫画家村上もとか氏のコメントには「今では治せる病気でも江戸時代では多くの人が死んだ。作品の中だけでも救いたかった」とある。医学の進歩は目を見張り、今もiPS細胞の研究のように、日々進化している。STAP細胞はわからないが。
解剖=腑分けは死刑囚の遺体を使っており、みんな首が切られている。当時は写真術ましてやカラー写真はなかったから、絵師がその場で彩色画を描いた。切った首の頭皮や頭蓋骨を剥いで脳を見たり、首なし遺体の胴体を開けたり、臓物をひっぱりだしたりと、かなりグロだが江戸時代の哀れな死刑囚の延長上に今日の医学の発達がある。
幕末になると医学教育も発達し、産科のための練習用標本、木製だ。
一本堂薬選。医学と並行して薬学も発達した。紀州の外科医花岡青洲が母と嫁を実験台に麻酔薬を開発したのは1800年前後であった。多数残されている青洲の資料から、彼が当時の(今も)医学界からあがめられていたのがわかる。
外科用医療器具。母方の祖父は外科医だったため、診察室のガラスケースにはこのような器具が並べられており、子供心に不気味だった。
現役時代の祖父である。当時は馬に乗って往診に行っていたため、地元の人々から「馬に乗った先生」と親しまれていた。
晩年の祖父。残念だが私はこういう老いた寝たきりの祖父しか記憶にない。
しかし現役時代の威厳と晩年の柔和な表情こそが祖父の人柄なのだろう。
そして21世紀の医学教育や発展に多大な貢献をしている3Dプリンタによる心筋梗塞を患った心臓の模型。これらが3Dプリンタで大量に複製され(だってプリンターだもん)、手術の検討や医学生の教育に役立っている。
撮影禁止だったが裸眼3Dモニターと高速CTによる動く人体内部の動く3D映像はすごかった。これが伝送され遠く離れた場所の医師が指示をして、あるいは遠隔操作の内視鏡により離れた場所からの手術も可能になるのだろう。
タイムスリップではないけれども、もし生まれ変わったのなら私は医者になっていたい。その道を現実世界で歩まなかった(歩めなかった)のは不幸なのか幸いなのか。
江戸の医から、未来を眺める。というテーマ。それまでは祈祷や民間伝承に基づくしかなかった病気との闘いに、東洋・西洋から急速に医学が普及し発達した江戸時代の日本の医学を軸に、医学・薬学関係の資料展示で俯瞰する。
音声ガイドのナビゲーターはTBSのドラマ「-JIN-仁」で江戸時代にタイムスリップした医師を演じた大沢たかおが務める。
原作の漫画家村上もとか氏のコメントには「今では治せる病気でも江戸時代では多くの人が死んだ。作品の中だけでも救いたかった」とある。医学の進歩は目を見張り、今もiPS細胞の研究のように、日々進化している。STAP細胞はわからないが。
解剖=腑分けは死刑囚の遺体を使っており、みんな首が切られている。当時は写真術ましてやカラー写真はなかったから、絵師がその場で彩色画を描いた。切った首の頭皮や頭蓋骨を剥いで脳を見たり、首なし遺体の胴体を開けたり、臓物をひっぱりだしたりと、かなりグロだが江戸時代の哀れな死刑囚の延長上に今日の医学の発達がある。
幕末になると医学教育も発達し、産科のための練習用標本、木製だ。
一本堂薬選。医学と並行して薬学も発達した。紀州の外科医花岡青洲が母と嫁を実験台に麻酔薬を開発したのは1800年前後であった。多数残されている青洲の資料から、彼が当時の(今も)医学界からあがめられていたのがわかる。
外科用医療器具。母方の祖父は外科医だったため、診察室のガラスケースにはこのような器具が並べられており、子供心に不気味だった。
現役時代の祖父である。当時は馬に乗って往診に行っていたため、地元の人々から「馬に乗った先生」と親しまれていた。
晩年の祖父。残念だが私はこういう老いた寝たきりの祖父しか記憶にない。
しかし現役時代の威厳と晩年の柔和な表情こそが祖父の人柄なのだろう。
そして21世紀の医学教育や発展に多大な貢献をしている3Dプリンタによる心筋梗塞を患った心臓の模型。これらが3Dプリンタで大量に複製され(だってプリンターだもん)、手術の検討や医学生の教育に役立っている。
撮影禁止だったが裸眼3Dモニターと高速CTによる動く人体内部の動く3D映像はすごかった。これが伝送され遠く離れた場所の医師が指示をして、あるいは遠隔操作の内視鏡により離れた場所からの手術も可能になるのだろう。
タイムスリップではないけれども、もし生まれ変わったのなら私は医者になっていたい。その道を現実世界で歩まなかった(歩めなかった)のは不幸なのか幸いなのか。