2018.06.30 Saturday
大家さんと僕 カラテカ矢部太郎著 手塚治虫文化賞短編賞受賞
ガリガリで冴えない芸人の矢部太郎(カラテカ)が、住んでいる家の大家さんとの交流を描いたマンガ「大家さんと僕」で手塚治虫文化賞短編賞受賞を受賞した。これは芥川賞の又吉直樹みたいに年末の紅白歌合戦のゲスト審査員に選ばれるかもしれない。
週刊新潮に連載されているマンガで、矢部太郎が漫画を描くのは初めてとの由。絵はいわゆるヘタウマだが、ストーリーの間の取り方が絶妙だ。ここはさすがに漫才師だと思う。
あまり売れていない、いじられ役の矢部太郎は、一軒家の外階段で上がる二階に引っ越してくる。大家さんに挨拶をすると「ごきげんよう」と返事が返ってくる上品な老婦人だった。もちろん矢部のことは知らないが、不動産屋からテレビに出ている人と聞かされており、俳優と勝手に勘違いしてくれている。
大家さんは何かと矢部に気を遣い、お茶に誘ったりしてくれて、そのうち親しくなり、一緒に九州まで旅行をしてしまう仲だ。
ストーリーはほぼ実話で構成されていると思う。
「終戦の年に17歳」という大家さんは昭和3年(1928)生まれで今年90歳になるはずだ。「マッカーサーがタイプだった」「入院先の病室で患者の老婆同士が軍歌を歌う」などと、なにかと昔の話が出てきて、それが矢部とのギャップになり、そこに笑いとペーソスが生まれる。もう先がないという会話ばかりで矢部はどう答えてよいかわからないが、大家さんは頭ははっきりとしており、昔のことはよく覚えている。今のことは何も知らない。
大家さんは短い間結婚していたことがあるらしいが、子供はおらず二階に住んでいた兄は他界して、今はときどき親戚やヘルパーさんが見える程度。だから兄の部屋だった二階に住んでいる矢部がもっぱらの話し相手だ。
ほのぼのとした大家さんの性格に、これまたほのぼのとした矢部の性格が入り混じって、ほかでは得られない人と人との情が生まれている。
昔はこういう間借り人と大家との交流も多かったと思うが、今ではすっかりビジネスライクなアパート経営になってしまった。
矢部太郎と大家さんの交流がいつまでも続くことを祈って止まない。
週刊新潮に連載されているマンガで、矢部太郎が漫画を描くのは初めてとの由。絵はいわゆるヘタウマだが、ストーリーの間の取り方が絶妙だ。ここはさすがに漫才師だと思う。
あまり売れていない、いじられ役の矢部太郎は、一軒家の外階段で上がる二階に引っ越してくる。大家さんに挨拶をすると「ごきげんよう」と返事が返ってくる上品な老婦人だった。もちろん矢部のことは知らないが、不動産屋からテレビに出ている人と聞かされており、俳優と勝手に勘違いしてくれている。
大家さんは何かと矢部に気を遣い、お茶に誘ったりしてくれて、そのうち親しくなり、一緒に九州まで旅行をしてしまう仲だ。
ストーリーはほぼ実話で構成されていると思う。
「終戦の年に17歳」という大家さんは昭和3年(1928)生まれで今年90歳になるはずだ。「マッカーサーがタイプだった」「入院先の病室で患者の老婆同士が軍歌を歌う」などと、なにかと昔の話が出てきて、それが矢部とのギャップになり、そこに笑いとペーソスが生まれる。もう先がないという会話ばかりで矢部はどう答えてよいかわからないが、大家さんは頭ははっきりとしており、昔のことはよく覚えている。今のことは何も知らない。
大家さんは短い間結婚していたことがあるらしいが、子供はおらず二階に住んでいた兄は他界して、今はときどき親戚やヘルパーさんが見える程度。だから兄の部屋だった二階に住んでいる矢部がもっぱらの話し相手だ。
ほのぼのとした大家さんの性格に、これまたほのぼのとした矢部の性格が入り混じって、ほかでは得られない人と人との情が生まれている。
昔はこういう間借り人と大家との交流も多かったと思うが、今ではすっかりビジネスライクなアパート経営になってしまった。
矢部太郎と大家さんの交流がいつまでも続くことを祈って止まない。